NVIDIAの2024年8-10月期決算が発表され、市場予想を大きく上回る結果となりました。売上高は前年同期比94%増の350億8200万ドル、純利益は109%増の193億900万ドルを記録しました。この数字は四半期ベースで過去最高を達成しており、NVIDIAの成長がいかに著しいものであるかを示しています。

決算発表後の株価の動き
決算発表の内容自体は非常に好調でしたが、発表後の時間外取引ではNVIDIAの株価が一時的に下落しました。この動きにはいくつかの理由が考えられます。以下では、その詳細を解説していきます。
成長率の鈍化懸念
今回の決算では売上高が前年同期比94%増という驚異的な成長率を見せました。しかし、次期四半期(2024年11月~2025年1月)の売上高見通しは375億ドル前後と予測されており、前年同期比69.5%増となる見込みです。この成長率も依然として非常に高い水準ですが、前四半期の94%増と比較すると鈍化していることがわかります。このため、一部の投資家にとっては成長の減速が懸念材料となりました。
成長率が高いほど投資家の期待値も大きくなりますが、それが少しでも下回ると株価にネガティブな影響を与えることがあります。今回の株価下落も、まさにこの「期待値と現実のギャップ」が原因と考えられます。

高い期待値による影響
NVIDIAの株価は決算前の2カ月間で20%以上上昇しており、すでに好決算への期待が市場価格に織り込まれている状況でした。そのため、好調な決算内容が発表されても、さらなる株価上昇にはつながりにくかったのです。
市場は往々にして「噂で買い、事実で売る」という動きを見せます。つまり、決算発表という事実が出た時点で利益確定の売りが発生しやすい状況だったと考えられます。
供給制約への懸念
AI市場において絶大な需要があるNVIDIAですが、供給能力が今後の成長を阻害する可能性も指摘されています。具体的には、NVIDIAが提供する高性能半導体は生産に高度な技術と大規模な設備を必要とし、供給を迅速に拡大することが難しいとされています。この供給制約が今後の売上高成長に影響を与える可能性があり、一部の投資家が慎重な姿勢を示している要因と考えられます。
今後の見通しと重要なポイント
AI需要の継続
NVIDIAの成長を牽引する最大の要因はAI需要です。特にデータセンター部門は前年同期比112%増と非常に好調で、AI関連の高性能半導体に対する需要が引き続き強いことを示しています。ジェンスン・ファンCEOも、AI関連市場のポテンシャルについて強調しており、将来的にもこの分野が同社の成長の中心となると述べています。

新製品「Blackwell」への期待
2024年11月からは新アーキテクチャー「Blackwell」の量産が開始される予定です。この新製品は、さらなるパフォーマンス向上と省エネルギー化を実現するもので、AI市場をはじめとした多くの分野で活用が期待されています。新製品の成功は、NVIDIAの今後の成長を後押しする重要な要素となるでしょう。
競合他社の動向
NVIDIAのAI市場における優位性は明確ですが、競合他社の動向も無視できません。AMDやインテルは、それぞれAI関連製品の強化に注力しており、市場シェア争いが激化する可能性があります。このため、NVIDIAにはさらなる技術革新と製品ラインアップの強化が求められています。
半導体市場全体の成長
半導体市場全体としても2024年は好調が見込まれています。前年比13.1%増の約5,884億ドルに達すると予測されており、AI、電気自動車、自動運転技術などが需要をけん引する形となります。このような市場全体の追い風を活用することが、NVIDIAにとっても重要です。
結論
NVIDIAは引き続きAI市場において高い成長が期待される企業です。しかし、成長率の鈍化や競合他社との競争激化、供給制約といった課題も抱えています。投資家は、同社の長期的な成長を見据えつつ、市場全体の動向や新製品の成功に注目する必要があります。
NVIDIAの未来は依然として明るいものの、さらなる成長を目指すには、多角的な戦略が欠かせません。同社が次にどのような動きを見せるのか、引き続き注視していきましょう。
