このバックテスト結果の何が凄いのか?

私は国内外投資顧問会社や投資運用会社と共同で、FXの売買ストラテジーを作成する仕事をしています。特にMT4ベースの自動売買システムを作成することが得意でして、年間20個以上のシステムを先方に提供しています。

MT4はオープンソース型のFX取引プラットフォームで、MQL言語と呼ばれるプログラム言語を駆使して、自動売買システム(EA)やインジケーターを自由自在に作成することができます。これについては広く知られていますのでご存知かと思います。

EAを作成していくに当たって、過去のヒストリカルデータを元に、ストラテジーの構築、さらに売買ロジックの計算式におけるパラメーターの調整を行いながら、さらに実際の相場で稼働させて、それらの調整を細かくやっていきます。

その作業は地味で膨大な時間が掛かるのですが、満足いくものとして完成に至るのはそのうちの2割程度しかありません。ほとんどが一部のストラテジーを次の新たなシステムに応用する程度で消えていきます。

まず、EAが完成した後、長期のバックテストを行い、パラメーターの調整を行っていく訳ですが、MT4に標準搭載されているEAのバックテスト用ストラテジーテスターには根本的な欠陥があります。それはスプレッド条件(手数料条件)を固定にして、仮想的にテストすることで、実際とはかけ離れた結果となることが多いことです。

FXトレードをされた方は実感されているかと思いますが、各通貨ペアのスプレッドは刻一刻と変動します。ミリ秒単位で変動すると言っても良いでしょう。こういう実際はスプレッドが変動するにもかかわらず、テストの都合でスプレッドを固定化してバックテストしているのが、MT4の標準搭載されたストラテジーテスターです。

一方で、この問題を解消する手段があります。一部の方はご存知かと思いますが、Tick Data Suiteという実際の変動スプレッドに対応したバックテストシステムを利用することにあります。

 Tick Data Suite の公式サイト https://eareview.net/tick-data-suite

このサービスではDukascopyなどの大手MT4ブローカーが提供する変動スプレッドと価格データを利用して、MT4のプラットフォーム上でテスト可能なプラグインを販売しています。これを利用することで、より実際のスプレッド条件に近い環境で長期バックテストが可能となるのです。

ここまでやって、初めてバックテストにて調整が完了する、と言えるかと思います。MT4標準のストラテジーテスターだけでは全く完璧とは言えないレベルです。特にスキャルピングロジックのEAなどではこの両者のバックテスト結果が大きく違ってきます。

最近、Tick Data Suite を利用したバックテスト結果をホームページ上で公開する良心的な開発者がチラホラ出て参りましたが、その他の多くが今まで通りのバックテスト結果を示して「どうだ~!」みたいな感じで勝ち誇る方もいらっしゃるようです。

ここで、私の手持ちのEAで、このTick Data Suiteを利用したバックテスト結果をご紹介します。

バックテスト結果を総括する収益曲線のグラフはほぼ一直線の右肩上がりとなっています。ただ、これはMT4の標準のストラテジーテスターでバックテストするとこのような曲線は比較的容易に描くことができるように調整は可能です。

しかし、上の結果の赤枠をご覧ください。モデリング品質が99.90%となっています。要するに、バックテストの精度が99.90%であることを示しています。これは何かと言うと、過去の実際の値動きを元に高精度にテストされた結果であることを示しています。

これがMT4標準のストラテジーテスターだけだと最高でも90.00%までとなっています。残り10%は怪しいという意味ですが、単に10回のうち1回のトレードが怪しいということではなく、テスト条件として1/10がいい加減である、ということを示しています。この1/10に該当するのが、変動するスプレッド条件です。この一番重要な条件が標準のストラテジーテスターでは欠落しているのです。

これらの厳しい条件を踏まえてテストした上のバックテスト結果は、正直言って客観的に見ても凄いと思います。自画自賛ではなく、開発のプロの方に聞いてみてください。こんな結果は普通は出せません。

バックテスト期間が長くなるとテスト時間も長くなりますので、ここでは2020年以降(直近まで)としていますが、仮に2010年からテストしても、収益曲線のグラフは同じような形状となります。

バックテストが完了してパラメーターを決定すると、その後は実際にリアルで稼働させて、バックテスト結果と同じような成績が出るか、確認して参ります。Tick Data Suiteを使用することで、リアルでも概ね同じ傾向となることを確認済みです。

以上の流れを踏まえて、1つのEAが完成します。最短でも2~3週間はかかるでしょう。EAの開発というのは非常に骨が折れる作業です。

上のバックテスト結果は私のほぼベストなEAのもので、先にご紹介した取引先と営利活動しています。他にもこれに準じる成績のものをたくさん保有していますので、このブログで定期的にご紹介していこうと思っています。

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